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花しるべ

「桜御膳」内のFiction別館サイト。取り扱いはポップンミュージック(非公式)が主。 初めての方は〔はじめに〕をお読み下さい。  
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a boy met a santa girl(ハヤト・ツララ)

暑い。
まさかこんなに「夏」というものが暑いものだなんて。
湯船の中に1日中いるような気分、とはよく言ったものだ。
先輩から聞いた例えはこの上なく簡潔で適格だった。
 
 
 
 
 
頭がぼんやりする。
足元もふらつく。
意識が、遠のいて、きた・・・

 
 






 
 
 
 
 
 
 
 
+++a boy met a santa girl+++
 
 
 
 
 
 










 
 
 
 
・・・ここはどこ?
気がつくと私は、先ほどの公園内のベンチに横たわっていた。
大きな木の影下にあるため、割と涼しい。蝉はうるさいが。
すると近くから誰かの声が聞こえた。
 
 
 
 
「・・あ、よかった、目ぇ覚ました。大丈夫?気分悪いとかない?」
「・・・平気。どうもありがとう」
 
 
赤いシャツを着た男の子がほっとした表情で私を見下ろした。
年は同じか、少し下ぐらいだろうか。
どうやらこの子が倒れている私を見つけ、看病してくれたようだ。
 
 


 
 
「びっくりしたよ。こんな暑い中、コートにブーツ姿の人がいたから」
「・・私の国には、夏、ってものがないから。
暑いってどんなものなのかよく知らなかったの」
 
 
 



 
 
このままでは話しづらいので、とりあえす起き上がってみる。
意識がはっきりしてくると、ある重大な失くし物に気が付いた
 
 
 
 
「!! ねぇ、私のコートは!?」
「あ・・ごめん。そのままじゃ暑いよな、と思って、
悪いと思ったんだけど、脱がせて枕にさせてもらってた」
 
 
迷惑だったかな?と申し訳なさそうに謝る少年。
悪気がないのは分かるのでそのままにしておく。
別にこの子に私の大切な思い出を話す義理はないし。
 
 
 




 
 
 
「この辺りじゃ見ない顔だよね。」
2学期からここに引っ越してくる転校生とか?
 
その質問に私は首を横に振る。
「冬に大切なお仕事の手伝いがあるから、学校の課題として
夏の間に色々と調べ物をしとかないといけないの。それでここに」
「へぇー、でもなんかそれって…」
 





 
 
サンタの仕事みたいだね
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
憎たらしいくらいに勘のいい少年だ。
 
 
 






 
 
 
「なんてね。サンタとか、いる筈ないし」
「いるわ。サンタは、本当に、いるのよ!」
 
 
 
思わず声に力が入る。言ったって信じてもらえないことは分かっている。
しかしそれでも、自分が目指す仕事を馬鹿にされることが許せなかった。
蝉の鳴き声と暑い日差しのせいで気が立っていたこともあるが。
少年は驚いたようだったが、ごめんなさい と頭を下げた。
いや、謝られても困るのだけど。
もしかしたら私の担当地区でもこんな考えの子どもばかりなのだろうか?
そう思うと気が滅入る。
 
 
 
「はぁ・・・」
ため息と同時に私のコートのポケットから電子音と振動が出てきた。
携帯電話だ。なかなか集合場所に現れない私に業を煮やしたアイツからだろう。
 
 




 
 
「・・・呼び出しくらったから、もう行く。助けてくれてありがとう」
そういって立ち上がる私を、少年は心配そうに見ていたが
何を言っても無駄と感じたのか、何回か頷いた。
 
「分かった。この辺りは特に暑いから気をつけてね。
・・・後、僕の言った言葉で何か気分悪くしちゃったみたいで、ごめん」
 
僕はハヤトっていうんだけど
君の、名前は?
 





 
 
聞こえない振りをしてやろうかとも思ったが
助けてもらったことを思い出して、一応小さな声で返事をする。
 
「・・・ツララ」
ちゃんと少年に聞こえたかどうかは分からない。振り向かなかったから。
 
 
 






 
+++
 









 
 
集合場所には既にペアの相方が待っていた。
「もー、一体何処行ってたんだよ!今日の夜までなんだぜ?ここに居られるの。
早いとこ担当地区の上空見取り図書いて、
プレゼント配達ルート案を先生に提出しねーと怒られちまうよ」
「ハイハイ。分かってるわよ、デイヴ…」
 
 
 






 
 
配達ルートを相談しながら、ぼんやりと考え事をする。
もうあの子と会うことはないだろう。私はこの地区担当ではない。
しかし、何かが引っかかる。これは一体何だろう?
 



 
 
心のもやもやの原因と、これを取り除く方法。
そのどちらも、当時の私はまだ分からなかった。
 
 








 
 
 
 
■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□
ハヤツラ小説。このネタ一体何年寝かしたんだっけ・・・。ツララは高校生くらいかな、と思ってます。
ここで終わるのも考えたんですが、もう少しだけ続く予定です。あくまで予定。(つまり未定)
次はハヤト視点で書きたいなぁ。

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