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花しるべ

「桜御膳」内のFiction別館サイト。取り扱いはポップンミュージック(非公式)が主。 初めての方は〔はじめに〕をお読み下さい。  
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手繋ぎ賛歌(MZD)

MZDと奥さんのお花見話。捏造が多いので苦手な方は回れ右
 




++手繋ぎ賛歌++





4月の始め、天気は晴れ。
気温も心地好く、鳥は唄い蝶が舞うような季節
一言で纏めれば「春 真っ盛り」といったところ

今日は二人で朝から電車に乗り、桜を見に向かっている。
近所の公園にも見事に桜が咲き誇っているけれど
買い物帰りの片手間に見るのではなく、
たまにはすこし遠出をして、ゆっくりお花見がしたい
そう零した一言をあの人が忘れずにいたようだ

聞いていないようで聞いている
そういったところは昔から変わらない






がたん ごとん
リズム良く電車は進む




「・・ねぇ貴方。今日は一体何処まで行くの」
「んー、着いてからのお楽しみ」

この遣り取りも朝から3回目だ
どうやら本当に目的地を教えるつもりはないらしい
悔しいから、私も朝に作ったお弁当の中身を一切彼には教えなかったのでおあいこだ




のんびりと流れ出したのは次の停車駅を伝える車掌のアナウンス

「お、此処だ。この駅で降りよう」



+++



降りた駅は規模が小さく、ほぼ無人駅といった様子
本当にこんな場所でお花見が出来るのかしら
少しの疑いを持って彼に視線を送る



「・・・本当に此処に桜があるの?って顔してるな
大丈夫だって。だってこの場所、スマイルから聞いたんだし」

スマイルから?
そ。お前がゆっくり花見したがってるって話したら
『奥さんには何度もお世話になってるから』って教えてくれた

「電車の本数が少ないから…なんてご丁寧に時刻表付きでな」
そう言いながら、ひらひらと泳がせる彼の左手には半分に折られた紙
見ると時刻表は印刷したものでなく、丁寧に手書きの文字で書かれている
そういえばスマイルは機械の操作が苦手だと言っていた
恐らく、印刷の仕方が分からなくて1つ1つ書き写してくれたのだろう
その時の様子を想像していると、自然と笑みがこぼれた




「・・そう。スマイルが教えてくれた場所なら安心ね」
「あ、何ですかその言い方ー俺だと信用できないみたいで傷つくんですけどー」
「そうは言ってないわよ。スマイルのお勧めなら期待できるわと思っただけ。
それで、ここからどの方向に進めばよいの?ちょっと地図見せて」
「それは嫌。だってお前地図読めないでしょ。この前も自信満々に反対方向の道行ってさ―――・・」



+++



「――ほら、着いた。此処だ」
「…これは素敵ねぇ。本当に、素敵」


視界には空の色と満開の桜。
土手沿いに植えられた桜並木が実に見事に咲き誇っている
それはまるで 長い長い 桜のトンネル

先客は何人かいたが 思っていたほど多くはない
知る人ぞ知る名所なのだろう 熱心に写真を撮る人の姿もある
お花見は好きだが、人混みは得意ではないので正直ほっとした



「今日来て正解だったな。丁度見頃だ」
「本当ね。満開時期予報まで教えてくれたスマイルに感謝しなくちゃ」
「あれ、やっぱバレてた?」
「分かるわよ。手書き時刻表の裏に、小さい文字で書いたのが見えたもの」



そんなことを話しながら桜のトンネルを進む
この綺麗な景色を見逃すまいと、ついつい顔は上向きのまま
足下は大きく盛り上がった桜の根や ふかふかの雑草、小石などなど
舗装されていない道に何度か足を取られ、転びそうになってしまった











「・・・ねぇ貴方。お花見をしていると どうしても足下が不注意になるわね」
「んーそうだな。ゆっくり歩いてても躓きそうになるなぁ」


そう返す貴方の視線は 桜の花々に注がれたまま
私も視線を上に向けたまま 彼の左手にそっと触れる







という訳で 転倒防止のために繋がせて
・・・手繋ぎたいなら、初めからそう言えばさ…
違うわ。あくまで転倒防止のためです
はいはい。それではこの桜並木をエスコートさせて頂けますか、お嬢様















優しく握り返される指先に、彼の指輪がふれる
それはとても 幸せで
それはとても 愛おしい










(あぁ 願わくば)
(もう少しだけ この並木道が続きますように)








fin.
□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■
書き始めたのは3月だったのに、GWも終わった頃に完成とは…(ギリリ
住んでいる地域はとっくに葉桜になっておりますが、そこは温かい目で見て頂ければ。
この二人は手繋ぎすら愛おしい関係だと想像しています。やっぱり好きだなぁ。

余談ですが、平松/愛理さんの「部屋とYシャツと私」は個人的に神嫁のイメージソングであります。
後半の「もし私が~みとどけたあとで」の歌詞だけで話が1本書けそうです^^









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