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花しるべ

「桜御膳」内のFiction別館サイト。取り扱いはポップンミュージック(非公式)が主。 初めての方は〔はじめに〕をお読み下さい。  
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御伽話への見解(スマイル・かごめ)

ここは某所の控え室。

今日はソロのお仕事だから、この部屋にはボク1人。

収録の時間まではまだ余裕があり、ボクは久しぶりに1人の時間を満喫中。

そんな時 こんこん、とドアをノックする音。

打ち合わせ・・・にはまだ早い。誰だろう

「はーい。どちら様ー?」

 




 

返信は、ドア近くで耳を済ませていないと聞き取れないくらいの小さな声。

相変わらずよく通る澄んだ声だ。

 

「・・・私」

「あぁ、かごめちゃん?入ってー」

 

 

 

 





 

 

 

+++御伽噺への見解+++

 

 

 

 

 

 






 

ボクより頭2つ分は小さい少女をソファに座らせ、ドアを閉める。

以前と変わらず、黒が基調の服を着ている。相変わらず細い体。

どこか遠くを見つめる瞳も前のまま。けど髪の毛が伸びて、少し大人びたみたい。

 

 

 

 

「こうして会うのも久しぶりだねぇ。お互い忙しかったから」

こく。

 

「元気だった?」

こく。

 

「こっちには仕事の関係で来たの?」

こく。

 

「そっか。何か飲む?」

こく。

 

 

 

かごめちゃんといると時折、人形に話しかけている様な錯覚に陥る。

ボクとしてはあの綺麗な声を聴きたいのだが、別段それを本人に伝えたことはない。

 

 

 


 

 

「本を・・・返しに来たの。長い間、借りていたから」

そう言って、彼女は黒い表紙の本を1冊、ボクに手渡した。

 

「あー、そういえば貸したままになってたっけ、この本。

別にいつでも良かったのにー。重かったでしょ?」

ふるふる。

彼女は首を横に振る。

 



 

「ううん・・・。それに、今日貴方に会わなかったら、また当分手渡せない、と思って」

「ヒヒッ、本当に君って律儀だねぇ・・・」

 

 

 

中々会う機会もないから、読み終えた本はユーリの城に郵送して、って言ってるのに・・・

君ときたら“ものを返すときは、その人の目を見て、声を聞かないと駄目”だもの。

 

 

 

 

 

 

 

 

ボクとかごめちゃんはお互いに、気に入った本を貸し借りする仲だ。

ボクが好む本の系統は、どうにも理解してくれる人が少ない。

そんな中、彼女とは本の好みや物事の捉え方、考え方が合った。

ユーリと話しているときに似た安心感、よりも更に深い感じ。

闇の部分が繋がっている、とでも言えば妥当だろうか。

ボクの本当の考えを話せるかごめちゃんみたいな人はとても貴重。

 

 

 









 

返してもらった本をぱらぱらと捲りながら会話を続ける。

「どうだったかな、この本。面白かったかい?」

こくこく。

おや、2回も頷くとは珍しい。よっぽど気に入ったんだねぇ

 

 






 

「どの話も綺麗だったけど、特に良かったのは、2話目」

かごめちゃんに貸した本は、御伽噺をモチーフにした短編集。

話目は確か、双子の王女姉妹とその幼馴染の話だったはずだ。

 

「それはまた、どうして?」

 

 

 

 

 

 

 

 

「その話が1番、正しい終わり方だった、から」

彼女は小さな声で、でもはっきりとそう言い切った。

 

 

 

 

 

 

 

 



 

 

 

革命を起こした国は、今まで酷い政治をしてきた一族を

きっと1人残らず、殺そうとするでしょう

 

罪のない王女達の命を守るために

顔の良く似た幼馴染が王女の服を着て成りすまし、代わりに処刑される

よくある御伽噺では此れで終わり

王女たちは無事生き延びて、大人しく暮らし続ける

 

けれど・・・滅ぼした筈の一族に良く似た顔の人間が生きているのよ?

血族だと疑われないほうがおかしいわ

 

この本では、きちんとその後が書かれていた

幼馴染と入れ替わり、生き残っていた王女たちが捕まって処刑されるところ

幼馴染の死が全くの無駄だった、救いようのない、でも1番正しい終わり方で

 

 

 

 

 

ここまで話すと、彼女はふぅ と息をついた。

いやぁ、君にしては長く喋ったねぇ。過去最高饒舌会話記録樹立だ。

 

 

 

 

 

「ヒヒ、そうかぁ・・・。ウチの犬君に読ませたら『どの話も終わりが絶望的過ぎるっス!』

とか言って泣き出しそうだね。というか絶対泣くね、あの子」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

結構な空白の時間を置いて、かごめちゃんはあの声を響かせる。

 

 

「・・・でも、この本を読んでも貴方は絶対に泣かない。そうでしょ?」

答えは知っているけど、と言いたげな眼は声同様、とても綺麗で。

 

 

 

 

 

 

 

 

 


 

 

 

 

ヒヒ、そんなの当たり前じゃない。

寧ろ、にんまりと笑い出すさ。

ボクと同じ思考の世界に生きる君なら、分かってるだろう?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

 

 

「当然さ。御伽噺がシアワセになんて、なれる筈ないもの」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Fin.

■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■

唐突スマかご話でした。何だか書きたかったことが全て消化不良でもぅ…もやもやです。

ダークな考え方が2人ともありそうだな、と思っております。本当は怖い○○とか好きそう。

というかそっちが真実でしょ?と思ってそうですね。

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