+++叶えども・叶わずとも+++
「・・・ねぇ、神さま。神さまは皆のお願い事を叶えているんでしょ?」
「あぁ。そりゃもぅ、相当な数を毎日な」
「ふ~ん・・じゃあ、じゃあね、神さま・・・」
貴方のお願い事は、一体誰が叶えてくれるの?
神さまと呼ばれる男は、眼鏡の奥で瞳を少し大きくした。
翼を持った少女は男をじっと見つめ、回答を待っている。
「嘘!神さまにだってお願い事はあるはずよ。隠そうとしちゃ嫌」
少女は少しむっとした表情で、男から目を離そうとしない。
男は少女の真剣な顔に苦笑してから、少女の頭を撫でた。
「そうだな。悪い悪い。
俺の願い事は・・・願いが叶った皆が幸せそうな顔を見せてくれること、だ。
皆の願い事を叶えることが、俺自身の願い事を叶えることにもなるんだよ」
だから俺に願い事がないってのはあながち間違いじゃないの、と男は笑う。
少女は納得したようなしないような表情を見せたが、一応納得したようだ。
「でも・・・もしも、もしもよ?神さまに他のお願い事が出てきたら
その時は私に言ってね。私、一生懸命お祈りするから!」
「あぁ。その時は、よろしく頼むぜ?大天使様」
そう言って男は少女に優しく微笑みかける。
えへへ、と少女は照れくさそうに笑った。
+++
また神さまにお花の冠を作って持っていくねと言って、少女は空へ飛んでいった。
小さな天使を見送りながら、神様は呟く。
本当の願いは
君の様に他人を思いやり、澄んだ心を持つ人々が世界中に増えること、なんだけどな。
fin.
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突発的小説で、ポエットとMZDです。いやー書きやすかった。MZDはとてつもなく
交友関係広くて、でもって意外と子ども好きというイメージが。彼はとても忙しいけれど、
1人ひとりと向き合って話す時間はきちんと設けます。もしかしたら彼だけは
1日24時間以上の時間があるのかもしれません/笑
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