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花しるべ

「桜御膳」内のFiction別館サイト。取り扱いはポップンミュージック(非公式)が主。 初めての方は〔はじめに〕をお読み下さい。  
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ダッシュ!!2

第二話。  コレが僕達で、僕達だからコレで。

 


ようやく僕達が走るのを止めたのはそれから7分後。
小さな公園のよく手入れされた芝生へ2人共一斉に寝転んだ。


「はぁ、はぁ・・・・も、もぅ走れない・・」

 「
ふー、何とか逃げ切ったな!あー楽しかった」

  

・・・ハイ?レオ君、何ですって?
こっちはいきなりの君の悪戯にさんざ振り回されたってのに
君は今何ておっしゃいました?楽しかっただって?

 
「・・・あー楽しかった、じゃないよレオ!
一体何なのさ!いきなり走り出したかと思えばピンポンダッシュ?
人様の家に迷惑かけて!何であんな事したのさ。もぅ体中くったくただよ!」

 
こんなに僕がレオに対して怒るのは久しぶりな気がする。
しかしボクの怒った顔にも動じず、レオは目をパチパチさせてこう言った。

 

「でも、頭はスッキリしただろ?」

 

  


――――
?あ、いや、確かにスッキリした事はしたけど・・

 

  
「それに、ボクに向けてのさっきの注意の仕方。
うんうん、いつものスギに戻ったね。やっぱスギはそうでなくちゃ」

 

   

え?
つまり、さっきのピンポンダッシュも
レオなりの、僕への励ましだった、って事?

 

 

 
「え、あ、いや・・レ、レオ?もしか――

「そりゃさ、ボクもちょーっと今回はやり過ぎたかな?とは思ったけどさ。
でも少しでも早くいつものスギに戻って欲しかった訳。
やっぱスギはボクが無茶な事とか馬鹿な事しそうになった時に
それをクールに止めてくれるポジションに常にいてくんなきゃ。
・・・頼りにしてるんだからね?相棒サン」

  
そう言ってくれたレオの顔は何だか少し、赤くなっていた。
――
ったく、照れるくらいなら最初から言わなきゃ良いのに・・・。

 

  

「・・・まーた、勝手なこと言ってー。
持ち上げたって、何も出ないよ?もちろんチョコも」

「うっわ、何ソレ。そんな事言われるとさすがのレオちゃんも傷つくよ?」

「もぅレオちゃんって年じゃないでしょ」

「まーね。えへへ・・・」

 

  

 

 


・・・ぷっ

 


「あは」
「あはは」

 


「「あはははははははっ」」


何が面白いのかも判んないけど
こうなってしまったら僕達は中々止まらない。
それを良く知っているのはお互い昔からの長い長い付き合いだから。


そっか、僕がレオの事を良く知っていると同時に
レオも僕の事を良く知っていたんだね。
いつも一緒にいるからお互いの好きなもの、嫌いなもの
そしていつもの相棒に戻す方法も誰よりも良く知っているんだ。

 
あぁ、そういえば僕が落ち込んだり悲しんだりしていた時
レオはいつも何か悪戯をしてボクを怒らせていたっけ。
それで僕が怒った後、「いつものスギに戻ったね!」
そう言って笑ってたな。

 
何だよそりゃ、って又怒りそうになるんだけど
確かにその時僕はいつもの自分に戻っていて
レオもその事が判っているみたいだから
何だか怒る気力もなくなって2人して笑い出す、ってのがいつもだった。

 
思えばそれは中学・高校の時からずっと続いていて。
だから僕がレオに対して怒った時、
僕は怒りよりも何だか懐かしい気持ちがするんだろうね。

 

 

 
 

 

「ふふねぇレオ?」

「何ー?」

   

 

「ありがとう」

 

 

  
「・・・何だよ急に。別に感謝されるような事はしてないよ」

「うん。それでも良い。ありがとう」

  
「・・・まーた、勝手なこと言ってー。
持ち上げたって、何も出ないよ?もちろんコーヒー牛乳も」
 

「うっわ、何ソレ。そんな事言われるとさすがのスギ様も傷つくよ?」 

「何だよ、スギ様って。てかさっき僕が言った台詞の真似じゃん」

「まーね。えへへ・・・」

 

「「あははは」」

 

 
 

  


びゅう
急に強風が吹き荒れてきたのはそんな時。

 

バサバサ・・・


「どわ、何か飛んで来 た?  スギ?コレってさ

「ん? あ!!ソレ!」

 


それは紛れもない、風に飛ばされたあの楽譜たちだった。

 

 

 「1、2、3ちゃんと全部ある!」

「ラッキー!にしてもあんな高い所に引っかかってたのか。
そりゃいくら探しても見つからないはずだよ」

「本当良かった…。もぅ絶対見つからないだろうって諦めてたからさ」

「うんうん。それもこれもボクがピンポンダッシュしたからだよね
ピンポンダッシュしたから逃げ出してきたわけだし
逃げ出してきたからここに来たわけだし、
ここに来たから楽譜が見つかったわけだし」

 


「・・・レオ?何が言いたいの?」
 

「ウン。だからご褒美にチョコ買って

 

「・・・・・・」

 

 

 


 


・・・あぁ、それでこそ僕の相棒デス。

  

 
「・・・しょうがないなぁ。じゃ、この曲が出来たらね」

「えぇー何でー?そんなぁー」 

「ハイハイ。ぶつくさ文句言ってる暇があるんだったら
さっさと家帰って音出しした方がその分チョコに近付けるよ」

そうだな・・よし!スギ、こっから家まで競走だ!」 

「えぇ?ちょっ、レオ!待ってよー!」

 
 

そう言うや否やレオの姿は遠くなっていって。
多分急に競走だなんて言い出したのはさっきの照れ隠しもあるんだろうけど。

 

 「よーし・・負けないぞ!」

 

 

  

 

走れ。

 

  

走れ。

 


嫌なことを忘れるにはそれが1番。

  
体中が疲れて、膝が笑い出すまで全速力で走って。
そしたら、ちょっとだけ顔を空へ向けてみて。

んな方法を知る事が出来たのはレオのお陰。
そう、2人でいたから分かった事、知った事が沢山ある。

 

   

 

それだからパーフェクトなのは『僕』ではなく



 『僕達』で完璧 なんだ。

 

  

 


fin.
                                   □■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■
出来ました!書いちゃいました!初スギレオ小説!!
息抜きのために書いていたはずがどんどん一人歩きしてしまい
こんなに無駄に長く・・・(滝汗) でもスギレオは書き易かったですー。
何というか、彼達の日常ってこんな感じかな?といった所からのスタート
だった訳ですがオチが弱い!弱過ぎる!と言うか良くわかんないよ/涙
一応「僕」はスギ、「ボク」はレオなのですよ。

最後の締めだけはお気に入りです。
ここまで読んで下さり、本当に有難う御座いました。

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