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花しるべ

「桜御膳」内のFiction別館サイト。取り扱いはポップンミュージック(非公式)が主。 初めての方は〔はじめに〕をお読み下さい。  
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僕達のハッピーソング.epilogue

ユーリの城に着いた瞬間、彼は堪えていた笑いを解放した。

ユーリの城に着いた瞬間、俺は堪えていた憤りを解放した。

 

 

 

 

 

 

 

 

+++僕達のハッピーソング.epilogue+++

 

 

 

 

 

 

 

「イヒッ、爺さんのあの顔見たぁ?いやー、すっきりしたヨ」

「っちゅーか!何で今まで隠してたんですか!ユーリは知ってたのに!」

「だって君に話してたら、ちゃんと曲作ってた事をあの場で直ぐばらしちゃうだろうしー」

 

 

例え声に出さなかったとしても、絶対顔に出ちゃうだろうしネェ。

ユーリには楽譜書いてる時に見つかっちゃったんだけどー

 

リビングであれだけ堂々と作業していて、見つからんと考える方がおかしいだろう

 

だって夜中だったから大丈夫かなって。

現にアッシュ君には1度もばれなかったじゃん?

 

 

 

 

 

 

へらりと笑うスマイルの顔を見ていると、怒る気も失せた。

本当に、この人の才能と性格は計り知れない。計り知れそうもない。

 

 

「・・・にしても、作った曲全部破り捨てちゃうなんて。何か勿体ないっスね。

一体どんな曲に仕上がったのか、ちょっと聴いてみたかったっス」

 

 

 

 

 

あのお爺様を懲らしめる為の演出演出ー

笑って答えながらポケットに手を入れて、

 

「でも、コレだけは破れなかったんだ」

 

そういって彼が取り出したのは、折り畳まれた数枚の楽譜

 

 

 

 

 

「え、一体何の楽譜っスか・・・って痛!」

不意に顔めがけて楽譜を投げてきたので、俺はもろに攻撃を受けた。

スマイルはその隙を突いて、長い廊下を凄い速さで走り出す。

 

 

「ちょっと、スマイル!いきなり何するんスか!」

 

 

 

 

スマイルは走るのを止めて、こちらを振り返る。

「だってソレ、目の前で見られたら・・・から」

 

「今何て言ったんスか?遠くてよく聞こえないっス!」

 

 

 

俺の声が聞こえていないのか、スマイルはさらに廊下を走る。

それからくるりと振り返り、叫んだ。

 

「だーかーら、目の前で見られたら恥ずかしい、って言ってんの!馬鹿アッシュ!犬!」

「俺は犬じゃねぇ!」

 

 

 

 

追いかけようとしたが、その前にスマイルが姿を消すほうが早かった。

当分カレーのリクエストは受け付けまいと心に決めていると

 

 

 

「全く・・・あいつらしい」

床から拾い上げた楽譜を見て、ユーリが微笑んでいた。

 

「依頼分の他に、こんな曲も作っていたとはな・・・私も知らなかった」

 

お前も読んでみれば分かる。

渡された楽譜に眼を通すと、ユーリの言ったことが直ぐに理解できた。

 

 

 

 

 

 

 

 

これは

もしかして

 

 

 

 

「これ、俺達の・・・Deuilの誕生曲?」

「恐らく、そうだろう。確かに、面と向かって見られるのは照れくさいかもしれんな」

 

 

 

楽譜には、メンバーの一員でいられることの喜びや

Deuilに対する深い愛情、想い

普段からの感謝の気持ちが目一杯に込められていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「やっぱり・・・スマイルは凄いっス」

「あぁ、私もそう思う。だからこそ我々はDeuilなのだ」

 

 

 

 

彼は常に自分達の期待以上の作品を作り上げる。

スマイルに対しての信頼と尊敬の意は、これから先も当分消えそうにない。

 

 

 

 

 

 

 

 

やっぱり今日はカレーにしようか。

楽譜を見ながらそんなことを、ぼんやりと考えた。

 

 

 

 

 

 

 

fin.

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「うさっぷち」の管理人、うさこ様の日記(09,4,18の記事)にて書かれた設定を元に創作させていただきました

「僕達のハッピーソング」今度こそ完結です。最後はほのぼの()スマイルのことを信じてよかったね、アッシュ!

 

ここで少しだけ補足説明を・・・

●富豪家は完全オリジナルです。うさこ様の日記で、怒った相手がスマイルに罵詈雑言を浴びせるという場面展開が

ありましたが、その役にポップンメンバーが誰一人しっくりこなかったので捏造しました。(名前すらありませんが)

●「僕達の~2」で富豪家がスマイルに対して暴言を吐いた後のアッシュの擁護シーンですが、うさこ様が日記にて

書かれていた、2人の台詞を使用させて頂きました(使用しても大丈夫でしたでしょうか…←今更)

私はこの台詞に惚れて、「是非この設定で小説を書いてみたい!」と思ったのです…!

●ユーリが真犯人を連れてくることなく終わってしまいました。スマイルのアリバイ等を考えるだなんて、

そんな高等な頭は持っていませんでした…。なので、うさこ様の設定とは少し異なった内容になってしまいました。

「こんなの違う!」と思われてもおかしくないですね。ひとえに私の能力不足です。申し訳ありません。

 

いざ書き始めると、キャラが一人歩きして当初の予定とは違う結末になったり(これはこれでありかと思ってますが)

考えてもいなかった台詞を喋りだしたりと色々ありましたが、構想を練る時も、創作中も非常に楽しかったです!

このような機会を与えていただき、本当にありがとうございました。

 

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僕達のハッピーソング.3

「くだらん茶番はもう良いだろう、スマイル・・・

勿体ぶらないで、其れを持ってさっさと種明かしをして来い。私は帰りたいんだ」

 

 

もぅ、ユーリってば本当に短気なんだからー

そう言って笑うスマイルの手には、先程ユーリが頭を叩くのに使用した紙の束。

紙の束は何やら見慣れたもので、びっしりと埋め尽くされている。

 

 

 

 

「音符、ってことはその紙・・」

 

 

 

 

 

 

・・・!

まさか!

 

 

「しーっ、大きな声だしちゃ駄目だよ、アッシュ君」

指を唇に当てて「静かに」の格好をとったスマイル。

 

 

 

そして未だ憤慨した様子の元依頼主に近づき、話しかけた。

 

 

「失礼ですが、私は曲が出来ていない とは一言も申しておりません。

“今年”のお嬢様の誕生歌をどれにするかまだ決めていない、と申したのです」

 

「どれにするか・・・?出来たのは1曲ではない、とでもいうのか」

「はい。お嬢様の1歳から15歳までの誕生と成長をお祝いして、15曲ほど」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あの短期間で1曲どころか15曲も作った?

耳を疑うようなスマイルの発言に言葉もでない。

表情を見る限り、それは富豪家も同じようだ。

 

「そ、それならそうと早く言えば・・・儂もそこまできつくは当たらな・・・」

「良いんですよ。どうせ気にしてませんし、先程の発言は本音だったんでしょうし」

 

 

 

 

 

富豪家の白々しい釈明を遮る。

そして、これ以上ない偽りの笑顔を貼り付けて

スマイルは最後の言葉を言い放った。

 

「しかし、誠に残念ですが御契約は破棄、ということですので・・・

これらの曲はなかったものとして、全て此方で処分させて頂きますネ」

「ま、待て!儂が悪かった!待ってくれ・・」

 

 

 

 

 

 

富豪家が急いで歩み寄り、楽譜を取るよりも早く

スマイルはあの笑みを浮かべながら顔を下げ――

「ヒヒッ、残念デシタ」

 

 

 

 

 

 

 

 

ビリ・・・ビリ

ビリィ・・・ッ

 

 

 

 

 

 

 

 

楽譜は富豪家の目の前で破られ、演奏される機会を永遠に失った。

 

 

 

■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■

「うさっぷち」の管理人、うさこ様の日記(09,4,18の記事)にて書かれた設定を元に創作させていただきました

この話も、とりあえずここで完結です…といいたいところですが嘘です。だってこのままじゃスマイル只の悪人!

その後の話が残っています。宜しければ、もうちょっとだけお付き合い下さい

 

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僕達のハッピーソング.2

「・・・何だと。明日の誕生日に間に合わなかったというのか?」

「いいえ、間に合ってはいます」

「では出来ているのだろう」

「そうですネェ。出来たといえば出来ているし、まだといえばまだです」

「どういう事だ。儂をからかっているのか」

 

 

 

のらりくらりと質問をかわすスマイルを横目に、俺の頭は混乱していた。

まさかこの人、本当に作らなかったのか?

いや、そんな筈は無いだろう。

しかし――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あーあ、どうも気が乗らない。投げ出しちゃおうかなー・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あの時のスマイルの言葉が、そうしても脳裏を掠める。

スマイルの事を完全に信じることが出来ない自分自身に、強い怒りを感じた。

 

 

 

 

 

「もぅ良い、話にならん。契約は取り消させて貰う!」

怒髪天衝を再現したかの様な表情。富豪家の怒りはおさまりそうにない。

杖を振り翳してスマイルを睨み、大声を張り上げた。

 

 

最初から儂はこんな男、信用ならんと思っていたんだ。

それをあの娘がどうしても、と言うから・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

大方、容姿で持て囃されているだけで

其れに見合った実力なぞ持ち合わせていないのだろう!

 

 

 

「……っちょ、…待ってください!」
「! アッシュく…」
「スマイルはそんな人じゃねえ! 

なんにも知らねぇくせに、勝手なこと言ぅッ… ……言わないでほしいっス!!」

 

 

 

 

 

言葉が勝手に、口を突いて出てきた。

 

 

確かにスマイルが何を考えているかなんて、俺にだって良く分からない。

もしかしたら本当に今回、曲を作らなかったのかもしれない。

でも、渡された少女の資料はいつだって持ち歩いていた。

それに、普段スマイルが音楽に向き合う姿勢を考えると

一生懸命に曲を作っているスマイルの姿しか、俺には想像できなかったから。

 

 

 

 

 

暫し、静寂が部屋を包む。

 

その静寂を破ったのは、ユーリの足音。

 

 

 

 

コツ・・・

  コツ・・・

 

バシッ

 

「痛ぁ。ユーリ、何すんのさ~」

 

 

 

 

と、間の抜けたスマイルの声だった。

 

 

 

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僕達のハッピーソング.1

「・・・誕生歌、っスか?」

「そう。お偉いさんからのご依頼でネー」

 

 

 

そう言ってスマイルは、ギターの弦を弾いた。

 

 

 

 

 

 

 

+++僕達のハッピーソング+++

 

 

 

 

 

 

 

 

大盛況で幕を閉じた、新曲発表ライブツアーから数週間。

スマイルはある大富豪から、孫娘の誕生日を祝う曲を作るように依頼された。

何でもその孫娘はDeuil―――特にスマイルの大ファンなのだそうだ。

 

 

 

「で、そのお嬢さんの誕生日はいつなんです?」

「1ヵ月後。15歳になるんだって」

 

 

 

結構きついスケジュールだよネー、1ヶ月って。

ギターを置いてからソファに寝そべり、鞄の中を弄る。

 

勿論スマイルもDeuilの一員として、日々の活動に追われている。

その中から時間を捻出して新たな曲を作るのに、1ヶ月という期間は確かに短い。

 

 

 

 

「そんで、作曲の参考に・・・って、御丁寧にこーんな分厚い資料までくれた」

数センチはあろうかという紙の束には、来月の主役である少女の生い立ちや

趣味、嗜好について詳細に記されていた。読破するだけで骨が折れそう。

 

 

「たかだか生誕15周年でこんな厚みだよ?

ボク達の資料をつくったら、一体どんな量になるんだって話」

 

 

 

少し考えて、思いついたことをそのまま口に出してみる。

「・・・多分ユーリとスマイルの分だけで、このリビングは紙で埋まるっス」

 

 

 

 

そりゃ言えてる。

スマイルは少し笑って、ソファから起き上がり窓の方を眺める。

心なしか、いつもより眼は笑っていない。

 

「急に呼び出されて、まさか『おい、儂の孫娘の誕生歌を作れ』とはネェ・・・

もうちょっと、ものの頼み方があるでしょうに」

「まぁ、今までに同じような経験はありましたけど。ちょっと今回は凄いっスね」

「主役のお嬢さんが悪いわけではないけど、あの爺様はいただけないよ。

あーあ、どうも気が乗らない。投げ出しちゃおうかなー・・」

 

 

 

スマイルが顔を下にして笑い出したら要注意。

何かを企んでいる危険が8割以上あるからだ。

俺は急いでスマイルを諭した。

 

 

 

「でももぅ引き受けたんスよね?だったら出来るだけの努力はしないと駄目っスよ」

「・・・ヒヒッ、分かってますって。ところでアッシュ、今日の晩ご飯は何?」

「あぁ、今日はシーフード・・・」

「『・・・のたっぷり入ったカレーっスよ、スマイル』だって?ワァ、それは嬉しい」

「そんなこと一言も言ってねぇ!捏造禁止!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

すぐにスマイルがいつもの調子に戻ったので、俺は安心した。

何だかんだ文句を言いつつも、彼は常に自分達の期待以上の作品を作り上げる。

今回もきっとそうなるだろうと、信じて疑わなかった。

スマイルに対して、それだけの信頼と尊敬の意を持っていたのだ。

 

 

 

 

+++

 

 

 

 

それから1ヶ月後、少女の誕生日前日に俺達は依頼主の館を訪れた。

館のあちこちには良く手入れがされた調度品の数々。

趣味はどうであれ、数はユーリの城とよい勝負だ。

 

案内された部屋には、老人が背を向けて立っていた。恐らく彼が今回の依頼主だろう。

「儂も暇ではない、手短にいこう。孫娘の為に作った曲を聴かせてくれ」

 

 

 

スマイルが一体どんな曲を作ったのか、俺もまだ知らない。

何回か尋ねてみたが、『発表当日までのお楽しみ』と誤魔化され続けたのだ。

彼は1歩前に進み、いつもと変わらない調子で依頼主に告げた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「いいえ、まだ御聞かせすることは出来ません」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

何だって?

 

その言葉に、一瞬思考が停止した。



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始めにも記していますが、この話は「うさっぷち」の管理人、うさこ様の日記(09,4,18の記事)にて書かれた

設定を元に創作させていただきました。この場を借りて、許可を下さったうさこ様に心よりお礼申し上げます。

素敵設定を活かしきれずごめんなさい…!こんなへっぽこ小説ですが、まだ続きます。

 

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僕達のハッピーソング(に行く前に)

※始めに(必ずお読み下さい)

この話は「うさっぷち」(http://u-b.pupu.jp/usa/)の管理人、
うさこ様の日記(
09,4,18の記事)にて書かれた設定を元に
創作させていただいた小説です。

以上のことを踏まえた上でお読み下さい。

 

小説作成の許可を下さったうさこ様、本当にありがとうございました。

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