何故こんな展開になっているんだったっけ?
確かこの人に話しかけられてるのが判って、
その後ボクがわんわん泣きじゃくっちゃって・・・
気が付いたらボクは、とんでもなく広いお城にお邪魔していた。
+++ can you notice me?2 +++
今、ボクがいるこの部屋がおそらく大接間だろう
右を向いても左を向いても、豪華な調度品が眼に飛び込んでくる。
この城の主は、途轍もない資産家に違いない。
時折、ストーブから心地よい薪の爆ぜる音が聞こえた。
そして長机(これも凄い装飾品)を挟んで、先程僕にぶつかった人が居る。
「そんなに堅苦しくならなくて良い。
…そういえばまだ名を聞いていなかったな。」
「あ、えと…スマイル、です」
見れば見るほど綺麗な人だった。
銀色の柔らかそうな髪は後ろで無造作に括られ
同じ色の睫毛は影が出来るほどに長い。
その下の赤い瞳はずっと見ていると吸い込まれるようだ。
「それはそうと…
お前は先刻、自己の存在に気付いてもらうのが久しいといった言動を取ったな。
あれはどうしてだ?」
「まぁ、何も言わなくても大体の予想は付くがな。
お前の片違いの瞳の色がそれを物語っている。異形の血が混ざっているな。
お前…元々は人間だったのではないか?」
「全く、数多の選択肢がある中、よりによって透明人間を選ぶとは…
アレは最も危険な儀式の部類に入る。そのまま死んでも可笑しくないものだ。
例え命は助かっても異形の血と共存した上、自我を保ち続けるのは難しい。
そういう点では、お前は相当恵まれていたといえる…」
こんな風に人がボクに向けて話してくれたのは何時振りだろうか
この幸せがずっと続けばいいのに
でもそんな事、叶いっこないのは分かってる
だから言わなくちゃ
言って此処からさよならしなくちゃ
『お姉さんに気付いてもらえて本当に嬉しかった。絶対に忘れない。
今日のこと何回も思い出して、これからも一人で過ごしていきます』
そう言って今夜の内にお別れしよう
さぁ、言わなくちゃ…
あれ?何か段々意識が遠のいてきたんだけど…
言わなくちゃ
言わなくちゃ
早くさよならを言わ な く ちゃ
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