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花しるべ

「桜御膳」内のFiction別館サイト。取り扱いはポップンミュージック(非公式)が主。 初めての方は〔はじめに〕をお読み下さい。  
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can you notice me?

第五話。 あの日のことは、忘れられない。

 

誰とも会話をしないでいると、時間感覚が無くなっていくって知ってる?
証明されているのかどうかは分からないけど、ボクの体験から言えること。
お喋りが大好きなボクにとって、ひとりは想像以上に厳しかった。
今思い返すと、よく廃人にならなかったと思うよ。

 

生き物とは会話はおろか、触れられることも殆どなかった。
ボクが触れられるのは無機物ばかり。
その無機物ですら、心が穏やかでないときは触れられなかった。
(それでも透明人間になりたての頃よりは大分進歩したと思う)

 

だからあの時何かがボクとぶつかった時も
誰かの荷物が当たったな、位にしか考えてなかったんだ。
それがなきゃ今のボクはない…って位、重要な出来事だったのにねぇ。

 

 

 

 

 

 

 

 

+++can you notice me?+++

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

最近めっきり寒くなってきた。
どうやらこの国も冬に入ったみたいだ。

 

自分の家を出て以来、ボクは色々な場所を旅してきた。
姿が見えないボクにはパスポートなんか必要ない。
ただひたすら色々な国を巡った。
知らない言葉に耳を傾けたり(お陰でボクは今でもかなりの国の言葉を理解できる)
見たこともない建築物を眺めるのは単純に面白かったし
その間だけでも、自分の置かれている現実を忘れることが出来たから。

 

 

「暇だなぁ…」 

長年ひとりでいると、暇つぶしの技術だけは長けてくる。
その頃ボクは目標の場所まで何歩かかるか目測して
その場所まで目を瞑って歩いていく遊びに凝っていた(誤差5歩以内なら勝ちだ)

 

(よーし、今回はあの広場の噴水までにしよう。ここからだと…45歩ってとこかな)

 

勿論広場には多くの人が行き交いしている。
目を瞑って歩くものなら、たちまち誰かにぶつかってしまう事だろう。
それも人や動物の体を通り抜けてしまうボクには問題なかった。
(時折誰かが地面に置いたカバンとかに足が躓くことはあったけど)

 

 

 

ドン

 

思い切り何かにぶつかったボクは尻餅をついた
全くの予想外の出来事に体は正直に反応する。

 

「あいたたた…」

  

誰かの荷物に当たったと思い、ボクは目を開いて確認した
いつもならすぐに犯人(犯物、とでもいうべきか)が分かるのに
その日は何も見当たらなかった。視界に映るのは足ばかり。
その足もどこか目的地へ向かって黙々と動き続け、ボクの体を通り抜けていく。
ボクのことなんか誰も気付いてない、と告げるかのように。 

ボクの近くで歩みを止めている人がひとりだけいた
見上げてみると銀色の長い髪を後ろで結んだ、赤い瞳の若い人。
肌が他の人よりも格段に白く、それが瞳の赤を強調していた 

その人と目が合った様な気がしたが、そんなことは絶対にない。
この人にボクが見えている筈ないんだから
相手が微笑んできたから笑い返したら、
ボクを通り抜けて後ろにいる子の元へ走っていく…なんて体験は何回もしたんだ。

 

 

「おい、人にぶつかっておいて謝りもしないのか?」
さっきの人の話し声が聞こえたが、ボクは返事をしなかった
ボクに向かって掛けられる言葉なんてのも、ある筈なかったから

 

 

「無視を決め込むとはいい度胸だな…見たところまだ子どもの様だが、
話せないわけでは無かろう?」

 

 

 

もう、この人一体誰に向かって話してるのさ?
誰でもいいから、早くこの人に返事してあげて欲しい

 

 

「おい。そこの蒼い髪の子ども。聞いているのか?」





その時ボクは身体中が震えるほどの衝撃を受けた

まさか

 

 

 

この人は ボクに向かって 話している の?

 

 

「お姉さんは・・・ボクの姿が見えるの・・・ ?」

 

「何を言ってるんだ。そんな戯けた事を言って誤魔化そうとしても無駄だぞ。
私は今不機嫌なんだ…寒いからこの時期極力外出はしたくないのに
止むを得ん事情で町に来たら殆どの店は定休日だし、外は寒いし、
明日また町へ降りなければならんと思うと今から気が滅入るし、外は寒いし…
おい、ちゃんと聞いているのか?そこの蒼い髪の子ども」

 

 

 
アァ、ヤット出会エタ。
ボクガミエル人ニ。
ボクニ気付イテクレル人ニ。

 

 

 
そう思うと涙が止め処なく溢れ出してきた。
ありがとう、ありがとうと泣きじゃくりながら。
当時はボクの出す音や声も周りの人には聞こえなかったので
仏頂面から急に焦りだしたユーリはさぞ可笑しな人物に見えただろう。 

 
後からユーリに聞いた話によると
あの日はクリスマスイブだったらしい。
透明人間になってから細かい日付なんて覚えてなかったから
その運命の悪戯にはちょっと素直に驚いてしまった。
(久々に神様の存在を信じなおそうかと思った位だ)

 
ボクと同じ様に話し相手が居なかったユーリにとって
あの出来事はささやかなクリスマスプレゼント…になった筈。
まぁ、あの人のことだから素直じゃないし、いつもの仏頂面で
「こんな贈り物を贈りつけてくるとは、久々に神の存在を疑ったな」
なーんて言うんだろうけどねぇ…ヒヒヒ★



to be continued…

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