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花しるべ

「桜御膳」内のFiction別館サイト。取り扱いはポップンミュージック(非公式)が主。 初めての方は〔はじめに〕をお読み下さい。  
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真実へのカウントダウン・2

あの会話の後、ボク達は本当に出発していた。

途中からは大きな大きな花束を持って。


 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

+++真実へのカウントダウン・2+++

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

自分の生まれ育った故郷に帰る。たったそれだけなのにボクは緊張していた。

あの日からずっと、故郷のことは忘れようとしていた。

自分の住んでいた村の方角は見ないよう、意識していたくらいだ。

 

それでも今ボクは1歩1歩、村に近づいていた。

勿論、日傘を差したユーリも一緒に。

 

 

 

 

 

「で、お前の村はこの先なのか?」

「そうだよー。墓地を通って、ちょっとした森を抜けたら見える筈。

――あ、その前に墓地に寄ってよい?お墓参りしていきたい」

 

久しぶりに先祖に挨拶をしていこう。そんな軽い気持ちだった。

子どもの頃の記憶というのは忘れようとしても色褪せないものらしい。

先祖の墓の場所までは迷うことなく進むことが出来た。

 

 

 

 

 

 

「あ、あったあった。ここだよ。随分古くなってる・・・

                      あ、れ

 

 

 

記憶通りの場所には先祖の墓。

その隣には記憶にない、初めて見る墓。

なんだろう。ボクが出て行ってから誰が亡くなったんだろうか。

 

 

 

 

「誰のお墓だろう・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

!!

 

「何で!何でだよ!そんな馬鹿な・・・っ!」

「スマイル?一体どうした」

 

 

 

何で…

何で…!

 

 

 

 

「何でここに、2人のっ・・・パパとママのお墓があるんだよっ…!!」

「…っ、落ち着け!スマイル

 

 

 

そんなまさか。

だってまだ、そこまで年月は経ってないはずだ。

パパとママは生きているはずなんだ。

なのに何で2人のお墓があるんだ。

 

 

嘘。

嘘だ。

嘘だ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

貴方たち、その墓の親族かい?

 

声のする方向へ目線をやると、夕日に背を向けた妙齢の女性が立っていた。

 

 

 

+++

 

少しだけ驚いたよ。もうそこの親族は誰もいないのだと思ってたけれど

 

 

 

「・・・遠縁の者でね。何年も疎遠になっていて、久しぶりに訪ねたら驚いた。

この墓の御夫婦は何故亡くなったか、知らないか」

 

 

 

 

止めてよ、ユーリ。

そんなこと聞かないで。

だってこれはきっと、性質の悪い冗談。

2人が死んでる筈ないもの。

 

 

 

何でだったかしらねぇ、随分前のことだから

女性は頭を傾げた。

 

 

 

 

思い出さなくてよい。

何も聞きたくなんかない。

聞いてしまったら、コレは嘘じゃなくなるんでしょう。

このまま嘘だと思わせてよ。

お願いだから。

 

 

 

 

 

 

 

あぁ、思い出した。昔、お祖母さんから聞いたんですよ

確か―流行病だった。この辺りの村の人もそれで結構亡くなったんですって

 

そちらの家族には1人息子がいたそうなんですけど

流行病が広がる何年も前、急にいなくなったそうです

丁度、両親が出かけている時に消えたそうで、人攫いにあったんじゃないかって

村人総出で必死に探したんですけど、結局見つけられなくて、生存は絶望的…

2人の落ち込む様は見てられなかった、って言っていました

 

それでも2人は流行病で倒れるその年まで、結婚記念日には毎年毎年

いなくなった息子さんの分のプレゼントも用意してらしたそうです

『あの子が私達へのプレゼントに花束を抱えて、ひょっこり帰ってくる様な気がして』

…なんて、いつも言っていたと

 

 

まぁ私もお祖母さんに聞いた話だからねぇ、と女性は言って

そのまま、家族の待つ家路へとすすんで行った。

 

 

 

 

 

 

「ボクの帰りを待ってた――?そんな嘘、あるわけ・・・」

 

 

だって、あの時2人はボクを捨てたんだよ?

いらない子、気味が悪い子として捨てた。

嘘をついてボクを置き去りにして、出ていった筈なんだ。

村に帰ってきたとしても、それはボクを待つ為では決してない筈で。

ボクはずっとそう思っていた。

 

だけど。

だけど、それが違う―――?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

先程の婦人の言葉が信じられないのならば、確かめに行けばよいだろう。

それだけ言ってユーリは口を閉ざした。

彼は静かに、ボクの選択を待ってくれている様だった。

彼なりの気遣いに心の中で感謝しながら、決断した。

今日、今まで逃げてきた全ての事実に目を向けようと。

 

 

「そうだね。あの場所に・・・家に、行ってみる」

 

 

 

+++

あの日以来1度も足を運ぶことのなかった家までの道は、体がしっかりと覚えていた。

恐らく何年も使われていない郵便受けは朽ち果て、門扉の蝶番は外れかけている。

家の主を失った「元」我が家は月の光を受け、それでも昔の風貌を残していた。

 

 

 

 

 

 

こういう場合、「ただいま」といって入るべきなのだろうか。

それとも「お邪魔します」と言うべきか。迷っていると

 

 

「…どうした。前を向いて、早く行け。お前が行かぬのなら私が先に入るぞ」

 

10秒と待てない王様気質全開のユーリの発言が耳に届いた。

先程の気の長さは一体何だったのかと問いたくなる気持ちを抑える。

 

 

「ちょっと待ってよ!行く!行きますって!」

このままだと本気でこの人は先に家に入りかねない。

数歩前へ進んだとき、背中からユーリの声がした。

 

「全く・・・そこまで緊張せずとも良かろう。ここは昔、お前と両親が住んでいた家だ。

お前以外の誰に『ただいま』と言ってこの家に入る権利がある奴がいるのだ」

 

 

 

 

 

 

あぁ。

そうか。

そうだよね。

 

 

「――・・ただい、ま」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

こうして、ボクはあの場所へ戻った。

 

■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□

ようやく家まで帰ってくることが出来ました…(ゼエゼエ)

真実は思い通りのものでなくとも、知らなければ分からないこともあるから。

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