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花しるべ

「桜御膳」内のFiction別館サイト。取り扱いはポップンミュージック(非公式)が主。 初めての方は〔はじめに〕をお読み下さい。  
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初めまして、彼の友人



スマイルとMZDの出会い話。





+++初めまして、彼の友人+++












「・・・相変わらず、だだっ広いよねぇ、この城は・・」

彼が眠りについてから結構な年月が経った
彼と一緒で退屈が嫌いな僕は、その後すぐに旅に出た
色々な場所を回ってみているけれど
十年か二十年に一度はメルヘン王国にあるこの城に来て
主が目を覚ましていないか確認がてら、簡単な掃除をすることにしている

彼が眠る地下室の掃除はいつも一番最後だ
彼が寝ているのを確認した後は
さっさと城を出て、次の旅に出ることにしている
あの棺桶を見ることで
歓喜とか
期待とか
躊躇とか
悲壮とか
自分の気持ちがぐるぐるになるのが分かっているから

旅先で見つけたお土産を適当に放り込んだ屋根裏部屋もそろそろ満杯になるが
彼が起きる気配は全くない
あの時からこの城は、時が一つも進んでいないようだった


「いい加減、目ぇ覚ましなよ ユーリ」
そんな願いを言ったところで叶うはずがないことは分かっている
何十年、何百年寝ることになるか分からないと手紙には書いてあった
この先僕が何年生きられるかも分からない
この先僕がこの場所を覚え続けている確証もない
この先僕がここへ着くための足が在り続けるという保証もない
そういうことを考え出すと、とても





「・・まぁいいや、今は掃除しよ」
とりあえずは、この澱んだ空気の入れ換えに廊下の窓を開け放そう
そう考えながら三つ目の窓に手を掛けたときだ



「・・・どちら様?」
彼以外の、人の気配がした


「あっれー?今日は久しぶりに人の気配がするな、と思って寄ってみたんだが・・」


そういって姿を見せたのは、帽子を被ってサングラスをかけた男
ラフな服装で、見た目は少年と青年の間といった感じ
僕が開けたばかりの窓の桟に器用に腰掛けて、辺りを見回している



「この城の主人に用があるのならお生憎様。あの人はまだ居眠り中だよ」
げ、マジで。アイツまだ寝てんの?そろそろ起きろよあの寝坊助めー床擦れすんぞー
男は役者のように大げさな反応をしてみせた
胡散臭いというか、怪しい感じがぷんぷんする
こいつに深く関わってはいけないな、と本能で察した


「成程、あれはお前さんの気配だったワケね。えーと、会うのは初めまして、かな?スマイル」
「・・・何で僕の名前を知ってるのさ」
「んー、昔ユーリからちらっとお前の話を聞いてたんでな」
「ユーリから?彼の友人なのかい」

まぁ古くからの顔なじみというか何というか
多分アイツは俺のこと友人とは考えてないだろーけど
自称ユーリの顔なじみ男は、へらへらと笑いながらポケットに手を入れる



んじゃ、眠り姫さんが起きたらコレ、渡してやってくれる?



渡されたのは薄い紙封筒


「・・・何コレ」
「ん?俺主催のパーティの招待状。
面白ぇやつ考えたからユーリも絶対来させようと考えてたんだけどなー。
まぁ今回じゃなくても良いさ、次にでも来て貰えば」

「・・・あんたが次来た時に、ユーリが起きてるとは限らないじゃん」
「起きるよ、アイツは。もうすぐな」

俺には分かるの
何てたって神様だから?


自称神様でユーリの顔なじみ男はにやりと笑う
こいつ、何か本当のことをぼかしている


「もうすぐ起きるって分かってるって事は、今はまだ寝てることも知ってる筈でしょう。
・・・それならアンタ、何でわざわざ今日ここに来たのさ」
「お、そこに気づくとは流石だねぇ。アイツと対等な会話が出来ていただけあって回転が速い。
確かに今日はユーリじゃなくてスマイル、お前に会ってみたいと思って来たんだ」


やってるだろ?お前も、音楽をさ
今度のパーティは音楽を愛する奴らが集まってはしゃぐお祭りだ
別に今すぐじゃなくても良い。俺は当分続けるつもりだから、気が向いたときにでも参加してくれ


「・・?僕はそんな場所に行くほどの人間ではないと思うけど」

確かに歌は好きだし、気が向いたときは三日三晩演奏するときだってある
けれど気分が乗らないときは何ヶ月も楽器に触らない
本当に気まぐれな付き合い方なのだ



いーや、お前はいつかきっとパーティに参加する
俺には見えるの
何てたって・・・



「「神様だから」」




自称神様は笑いながら桟の上に立ち上がり

「そゆこと。飲み込みが早いな。ユーリが起きたら上手いこと説明しといて。
そんじゃ、待ってるぜ?未来の招待客さん達」

それだけ言って、ふっと姿が見えなくなった




ふと気がつくと、あいつから受け取った封筒がユーリ宛と僕宛の二つになっていた。







fin.

□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■
本日とあるイベントでスマイルとMZDの2ショットを見たのでカッとなってやりました。
構想はずいぶん前から考えていたものですが!
スマイルとMZDの出会いはこんなイメージ。スマイルからすればMZDの
第一印象は「最悪」の一言だと思います/笑

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